移植
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Flow Cytometry Crossmatch T cell陽性症例に対する高容量免疫グロブリンの使用経験
田邉 起佐々木 元高田 祐輔閑 仁志朗原田 理予相澤 翔吾氏橋 一紘三浪 圭太田中 博原田 浩関 利盛平野 哲夫
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s321_2

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抄録

【目的】2019年に抗ドナー抗体(DSA)陽性腎移植の術前脱感作療法として高容量の静注用免疫グロブリン(IVIg)が適応となったが、対象症例や投与レジメンは施設に委ねられている。当院では原則としてFlow Cytometry Crossmatch T cell(FCXM-T)陽性症例に対して本剤を使用しており、その治療成績を報告する。【方法】対象は当院の術前FCXM-T陽性症例に対して高容量IVIgを使用した5例。年齢は中央値51歳、男性2例、女性3例、感作歴は妊娠歴3例、輸血歴1例、腎移植歴1例。抗HLA抗体同定検査では全例でMFI値1000以上のDSAが確認され、中央値は2024(1400-6547)であった。当院のレジメンは移植1か月前にリツキシマブ投与とTAC、MMF、ステロイドの3剤内服を開始し、移植の8日前から前日まで血漿交換とIVIg0.5-1.0g/kg投与を交互に行っている。IVIgの副作用、移植成績につき検討した。【結果】脱感作後のFCXM-Tは5例中3例が陽性で、初期の1例は移植を中止したが、最近の2例は移植が行われた。全例で投与による有害事象は認めなかった。移植が実現した4例のフォロー期間は中央値301日で、1例で術後2日目に急性抗体関連型拒絶反応、もう1例で術後1か月の生検で急性T細胞性拒絶反応と診断された。いずれも抗拒絶療法により改善し、4例とも移植腎生着中で、直近のeGFRは中央値58.1ml/min(35.4-84.7)であった。【結論】IVIgは副作用なく投与が可能であった。投与レジメンや移植の可否について症例を蓄積する必要がある。

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