移植
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血液型不適合またはドナー特異抗体を有する生体肝移植レシピエントにおけるリツキシマブ使用後の脾臓内形質細胞の検討
中沼 伸一蒲田 亮介所 智和高田 智司岡崎 充善牧野 勇関 晃裕荒井 邦明山下 竜也八木 真太郎
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s317_2

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抄録

【背景】血液型不適合またはDSA陽性レシピエントの生体肝移植では、リツキサンによる脱感作療法の導入より予後改善を認める。しかし、リツキサン使用でもAMRを約30%に認め、十分に抗体産生が抑制されていない可能性がある。今回、リツキシマブ使用例の脾臓組織を用いて形質細胞の評価を行った。

【方法】リツキシマブを移植前に投与した生体肝移植レシピエントをABO不適合8例、DSA陽性3例認めた。その内、移植時に9例で脾摘が行われた。B細胞は抗CD20抗体、形質細胞は抗CD138抗体を用いた免疫染色により脾臓組織を評価した。門脈圧コントロールの目的で脾摘を行った2例をPositive control(PC)とした。1視野における発現域を5段階(0:なし、1:10%未満、2:10%~30%未満、3:30~60%未満、4:60%以上)で評価した。

【結果】リツキサンは、500㎎/bodyまたは375㎎/m2の投与が7例、300㎎/bodyが2例、追加投与量を含めた総投与量の中央値は1000(600~1500)㎎/bodyであった。PC例のCD20発現、CD138発現は細胞膜で強い発現を認めた。CD20発現は、PCの2例ではGrade2、血液型不適合・DSA陽性例ではGrade0:6例、Grade1:3例の発現を認めた。またCD138発現は、PCの2例ではGrade1、血液型不適合・DSA陽性例ではGrade0:7例、Grade1:2例の発現を認めた。血液型不適合例で総投与量1000㎎以下の2例でAMRを認めた。

【結語】リツキサン投与後、脾臓内のCD20発現は約30%、CD138発現は約20%の症例でわずかに残存していた。

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