移植
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当院におけるアルコール性肝硬変患者に対する肝移植の現状
岩田 みく小川 晃平曽我部 恭成伊藤 千尋坂本 明優西 悠介新恵 幹也浦岡 未央永岡 智之本庄 真彦田村 圭坂元 克考船水 尚武髙田 泰次
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s317_1

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抄録

【背景】愛媛大学では生体肝移植の場合,術前6ヶ月の断酒期間を設けているが,重症例では必ずしも6ヶ月の断酒期間を必須としていない.【対象と方法】2001年9月から2022年3月に当科でALCに対して肝移植を行った16例(生体:15例,脳死:1例)について術前断酒期間と再飲酒の有無,生存率などとの関連を検討した.【結果】男性12例,女性4例,年齢は中央値48歳(37-64歳),MELD scoreは中央値15.75(8-48)であった.観察期間中央値は1253日(58-5414日),術前断酒期間は中央値276.5日(63-5153日),断酒期間6ヶ月未満は4例で,うち3例はMELD score>25,1例はSBPを頻発していたため6ヶ月の待機が不可能と判断した.術後再飲酒は3例(19%,年齢平均44歳,いずれも術前断酒期間6ヶ月以上)にみられた.5年生存率は94%で,術前断酒期間や再飲酒の有無による生存率の差はみられなかった(p=0.705, p=0.622).また,術前断酒期間と再飲酒に関連はみられなかった(p=0.267).移植後CTで脂肪肝が疑われる症例は6例(38%)で,うち3例は肝機能障害を伴っている.【結論】当院におけるALCに対する移植適応は妥当なものと思われるが,術後に高度脂肪肝を呈する症例もあり注意を要する.

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