移植
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脂肪由来間葉系幹細胞と肝細胞の二層化における細胞間接着の検討
鈴志野 聖子佐藤 直哉武藤 亮渡邊 淳一郎小船戸 康英石亀 輝英岡田 良木村 隆見城 明丸橋 繁
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s308_3

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抄録

【緒言】これまで我々は、脂肪由来間葉系幹細胞(ADSC)と肝細胞の二層化シートを作製し、肝細胞単独シートと比較して、細胞活性の高い肝細胞が維持されることを報告した。また、二層化シートは、細胞シートの強度が改善し移植手技の難易度が大幅に改善した。しかし、細胞シートの強度に関する十分な評価が得られていなかった。本研究では、肝細胞とADSCの二層化シートの細胞間接着に着目し、細胞接着分子の免疫染色と電子顕微鏡によるtight junctionの観察を行った。【方法】マウスの皮下脂肪より分離したADSCを温度応答性培養皿で培養し、同系マウスより分離した肝細胞を播種し、二層化シートを作製した。作製した細胞シートを、それぞれfibronectin、E-cadherinの免疫染色にて細胞接着の状態を確認した。また電子顕微鏡を用いて、細胞間のtight junctionを観察した。【結果】細胞シートを浮遊させると、二層化シートは、シート構造を保ったまま浮遊したが、肝細胞単独シートは崩れ易く、シート構造を保つことが困難であった。fibronectin、E-cadherinの免疫染色では、二層化シートの方が細胞間において、より高発現を示した。電子顕微鏡では、二層化シートの方がより太く長いtight junctionが確認できた。このtight junctionの差が、fibronectin、E-cadherinの免疫染色における染色強度の差と考えられた。【結論】肝細胞単独シートと比較して、肝細胞とADSCによる二層化シートは、より強い細胞間接着を認めた。ADSCの付加により、細胞間接着がより強固になり、細胞シートの強度が増したと考えられた。

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