2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s297_3
(背景)膵臓移植を希望する1型糖尿病患者の多くは、頻回の低血糖発作や様々な合併症を抱えている。移植待機期間は近年短縮傾向だが、依然待機患者は数多く存在する。(方法)2009年から2021年の当院での膵臓・腎臓移植登録患者の臨床的背景を検討した。(結果)登録患者数91名(男性35名、女性56名)、膵臓・腎臓同時移植(SPK)71名、膵臓単独移植(PTA)14名、腎臓移植後膵臓移植(PAK)6名であった。平均年齢41.6 ± 7.7歳、平均HbA1c 7.2 ± 1.4%、平均BMI 20.8 ± 2.9 kg/m2。SPK、PTA、PAKのeGFR(mL/min/1.73m2)は、各々SPK 5.5 (25 th-75th, 4.3-7.4)、PTA 57.4(25 th-75th, 25-85)、PAK 47.0 (25 th-75th, 34.1-58.7)であった 。重症低血糖は57/91名で発症頻度は4.5回/月(25 th-75th, 1.0‐12.0)、無自覚低血糖は84/91名で発症頻度は10.0回/月(25 th-75th, 4.0-30.0)、両者を伴っている者は55/91名であった。91名中72名は既に移植を行っており、待機期間中に2名が死亡した。(まとめ)登録患者は複数の進行した合併症を抱えており、待機期間中も細心の全身管理を行うことが重要と考えられる。