移植
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当院におけるHIF-PH阻害薬を用いた腎移植患者の貧血治療戦略 -副反応回避にむけて-
丸山 通広遠藤 悟史木下 和也佐々木 拓馬貝沼 駿介森下 弘基松原 久裕
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s290_3

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抄録

【目的】HIF-PH阻害薬は最近腎移植患者への有効性が報告されているが、副作用も懸念される。今回当院におけるHIF-PH阻害薬を用いた貧血治療戦略につき報告する。

【対象】腎移植後当院にてフォローしている86名中HIF-PH阻害薬を投与した16名。内訳は初回投与としてロキサデュスタットを用いた12名およびダプロデュスタットを用いた4名。ESAからの切り替えは9例。

【方法】投与開始後貧血改善状況、副作用の発生頻度を検討した。

【結果】副作用は、消化器症状3例、脱力感1例、上肢の疼痛1例の計5例であり全例ロキサデュスタット投与例であり、初回投与量は添付文書通りであった。5例ともロキサデュスタットを中止した。血栓塞栓症、網膜症等はいなかった。投与を継続した全例で貧血改善を認め、24週以上投与を継続した例での平均ヘモグロビン値は12.45g/dLであった。副作用にてロキサデュスタット投与を中止した2例へダプロデュスタット2mgから投与を開始したが、副作用は認めていない。また新規にロキサデュスタットを開始する症例への初回投与量を20mgとしているが、副作用は認めていない。

【まとめ】HIF-PH阻害薬にて腎移植後患者の貧血は全例改善した。ロキサデュスタットによると思われる副作用にて投与中止した例があったが、低用量から開始することにより副作用は回避できる可能性が示唆された。

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