2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s286_1
2006年に日本移植学会登録委員会のもと、日本における臓器移植例の全例査を目標に登録事務局が設立し日本における臓器移植登録事業が発足した。腎移植登録事業においてもその際に発足し、腎移植本登録システムによりデータを集積し、症例数、生存率・生着率等の基礎データを解析し日本における移植医療の評価・発展にすることを目的とした。
移植実施後の症例登録により年症例数を把握し、定期的に、登録症例について移植時の詳細デ
ータをベースラインデータとして回収する。さらに過去全登録症例調査を定期的に実施するこ
とより、移植後のアウトカム情報や患者の予後や死亡、移植腎の予後等を取得し、生存率・生
着率等の検証を行い、信頼性の高い有意義な成果を得るために全集調査を目標としている。
また、生体腎移植の場合、ドナーの長期予後を検討する目的でドナーデータも回収している。
しかしながら、2021年12月までに腎移植総数は42,779症例であるが、追跡調査ができているのは約24,000症例(56%)程である。また、生体腎移植ドナーのフォローにおいて入力されているのは10,896(25%)でそのフォローは年々減少している。
近年ドナーの高齢化が進み、2018年には生体腎移植ドナーの47.3%は60歳以上であり、70歳以上のドナー200症例を超え、マージナルドナーは増加傾向にある。基礎データを解析し日本における移植医療の評価・発展にすることを目的とした腎移植登録事業の現状と問題点を検討するとともに、生体ドナーのフォローの必要性ついて検討し報告する。