移植
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脳死下臓器提供での患者管理における当院の取り組み
岩崎 有杜纐纈 一枝剣持 敬
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s271_3

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抄録

【はじめに】脳死下臓器提供での患者管理において主治医の負担は大きい。早期より主治医のみでなく、各臓器専門の医師(以下、専門医師)が介入し患者管理を行うという、当院の取り組みについて報告する。

【症例】当院ではこれまで13件の脳死下臓器提供を経験してきた。第2回法的脳死判定終了後、患者は臓器移植科へ転科し、ICU病棟へ転棟となる。前症例までは、転科・転棟するまでの患者管理は原則、主治医が行い、その負担が大きくなっていた。しかし本症例からはシステムが変更され、患者・家族に臓器提供の希望があると判明した段階から、専門医師が介入できるようにした。これにより、転科転棟前までの主治医の負担を軽減することができた。これまでは転科転棟後に提供臓器の評価、必要な介入がなされていたため、特に肺については、合併症の改善ができず提供が断念されることがあった。しかし今回、早期から専門医師が介入することにより、患者の提供臓器の状態の改善を図ることができた。

【まとめ】早期から専門医師が介入することで、主治医の負担の軽減のみでなく、提供臓器の機能の維持・改善を図ることができる。このことは、多くの臓器を提供したいという患者・家族の希望を叶えることにつながる。また、提供を受けたレシピエントの移植成績の向上にもつながる。ドナー・レシピエント双方のメリットを考慮すれば、早期より各臓器の専門医師が介入することは有効であると考える。

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