移植
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新型コロナウイルスが共にある移植医療の発展を目指して
谷峰 直樹田中 友加Seidakhmetov Akhmet荒田 了輔築山 尚之井出 隆太今岡 佑輝中野 亮介坂井 寛大平 真裕田原 裕之井手 健太郎小林 剛大段 秀樹
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s268_1

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抄録

新型コロナウイルスによるCOVID-19感染症の医療体制に与えた影響は甚大であり、しばらくはその終焉を期待することは見込めない。一方で、様々な知見が検証されることで、移植医療においても、対策をたてながら実臨床を遂行し、発展させることが求められている。

当講座では感染爆発の当初、研究室でのPCR検査技術の確立による患者スクリーニングの実施やCOVID-19陽性者入院時の対応計画の立案を行い、独自の対策を開始した。それに引き続き、病院のCOVID-19診断・診療体制の確立や専用病床、専任感染症対策チームによる臨床対応など、病院規模の取り組みがなされ、大学の検査体制の一部として機能を担った。また、日本移植学会の対策チームの努力による種々の提言を参考に、感染規模に応じた診療体制の調整を行ってきた。適切な提言により緊急度の高い患者の移植を遂行しながら、最も死亡リスクの高い移植後早期の院内発症例を経験せずに診療を継続できている。また、研究機関として移植免疫で培った知見を活かして、感染重症化リスクやワクチン接種効果に関わる遺伝子多型因子の同定を行い、移植医療へ還元の取り組みを行っている。

今後、我々が医療者個人として、医療機関として、移植医療関係者として、必要とする患者に移植医療をさらに発展性をもって届けていくためには、継続的な知識ならびに対策を更新していくことが重要であると考える。

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