移植
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心停止ドナー肺移植におけるEx Vivo Lung Perfusionの展望
田中 真石上 恵美石原 恵松原 慧橋本 好平枝園 和彦諏澤 憲三好 健太郎山本 寛斉岡﨑 幹生杉本 誠一郎豊岡 伸一
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s211_1

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抄録

日本のドナー不足は深刻であり肺移植待機患者の約1/3は移植を受けることができず死亡している。諸外国においてはドナー不足の解決策として心停止ドナー(Donation after Cardiocirculatory Death, DCD)からの肺移植が全体の約10%行われるようになっており、その割合は増加している。DCDには二つのタイプがある。一つはcontrolled DCDで、病院内で人工呼吸器を停止させ心停止後に臓器を摘出するもので世界的に普及している。しかし日本では倫理的にも十分な議論が進んでなく実現には時間がかかる。もう一つはuncontrolled DCD(uDCD)で、病院外で心停止になり心肺蘇生にもかかわらず死亡が確認された患者をドナーとする方法である。日本では倫理的に許容しやすくuDCD腎移植は1971年から本邦でも施行されており、肺移植での普及が待たれている。しかしながらuDCD肺移植はドナー管理が煩雑で世界的に浸透しておらず、その経験のほとんどはスペインに集中している。以前スペインのuDCD肺の機能評価はドナー左心房内の血液ガス分析という簡便な方法に頼っていた。しかし、この評価方法ではグラフトの呼吸・循環動態に関する不確実性あり、肺移植後の予後不良に繋がっている可能性を指摘されていた。そこで我々はuDCDドナーに対する生体外肺灌流(Ex Vivo Lung Perfusion, EVLP)システムの導入とドナー管理プロトコルを改訂することでその後uDCD肺移植の良好な結果を得ることができた。これらの経験において、EVLPのuDCD肺においての役割を考察する。

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