移植
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膵・膵島移植の治療選択とその適応
伊藤 泰平剣持 敬栗原 啓會田 直弘
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s206_2

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抄録

2020年4月から膵島移植が保険収載された。1型糖尿病患者に対し、膵臓移植と膵島移植のどちらかの移植医療が保険診療下で選択できる時代が到来したが、その適応基準は異なる。両者とも、内因性インスリン分泌能の枯渇の証明が必要であるが、膵臓移植では、「空腹時血清Cペプチド 0.3 ng/ml 以下、かつ、グルカゴン負荷後血清Cペプチド 0.5 ng/ml 以下」あるいは「グルカゴン負荷前後の血清Cペプチドの差 (Δ 血清Cペプチド)が 0.3 ng/ml 以下」を目安するとし、膵島移植では「随時血清CPR<0.2ng/mL」と定義されている。

また、膵・膵島移植では長らく、血清CPR<0.3 ng/mLという基準を持って、グラフト機能廃絶としてきたが、グラフト機能の維持が前提となる膵島移植の複数回移植の基準は血清CPR≧0.1ng/mLとなっている。

一方で、海外では2型糖尿病、慢性腎不全患者に対する膵腎同時移植も行われ、生命予後改善効果が報告されており、国ごとの臓器提供の状況によって、膵・膵島移植の適応は大きく異なる。

本邦における臓器提供の推移、膵・膵島移植の実施状況、さらにはその成績から今後目指すべき膵・膵島移植の適応について考察する。

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