2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s197_2
緒言:日本はprecision anatomyに立脚した精緻な肝臓手術で世界を先導.当科はGlisson一括確保+hanging maneuverが生体肝移植ドナーの標準術式.門脈/肝静脈の変異で極めて高度な手技を要した2例を提示.
1)50代レシピエントと20代ドナー何れも門脈後区域枝(Ppost)単独分岐(Nakamura C),肝全摘時にレシピエント門脈本幹を切離.ドナー側は門脈前区域枝(Pant)/Ppostを別々に切離し右肝グラフト採取(出血量35g).バックテーブルで摘出肝から採取した自家門脈とグラフト肝のPant/postを各々吻合後put in,再灌流(図1:CIT/WIT 190/40 分).
2)30代ドナーのPantが臍部から分岐(Nakamura D)かつRHV,IRHV2本,V5,V8全て再建しても肝容積不足のため左肝3区域+尾状葉グラフトを採取(出血量282g).バックテーブルでPantと門脈左枝を再建後60代レシピエントにput in,再灌流(図2:CIT/WIT 89/48分,Ibuki et al. Liver Transpl 2019).2例とも元気に外来通院中.
結語:Precision anatomyに基づく高難度生体肝移植手術で救命が叶う.