移植
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貧血を有する腎移植患者に対するロキサデュスタットの使用経験
寺西 淳一米澤 光祐花井 孝宏望月 拓石田 寛明
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s325

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抄録

緒言:今回、貧血に対してESA製剤を定期使用していた腎移植患者にHIFプロリン水酸化酵素阻害剤であるロキサデュスタットへの切り替えを行った症例を経験したので報告する。対象・方法:外来腎移植患者のうち、定期使用していたESA製剤を中止し、ロキサデュスタットを開始し3カ月以上経過した症例を対象とした。ESAからの切り替え時のロキサデュスタット開始容量は添付文書通りの推奨容量で行った。ロキサデュスタット開始時の患者背景、開始前1年間と開始後3カ月間のHb中央値とHbの変動について後方視的に比較検討した。また、Hbの変動は、観察期間中のHbの最大値と最小値の差と定義した。結果:対象は、腎移植後7年~23年経過した男性2名と女性3名の計5例で、全例でEVRを使用し、5例中4例の移植腎機能低下の原因は、慢性抗体関連拒絶反応であった。ロキサデュスタット開始時のHbは全例10g/dL以下であり、推奨用量での切り替えによりHb低下例はみとめなかったが、Hb10g/dLを目安に調整したところ、2例で増量を要した。開始前1年間と開始後3カ月間のHb中央値の比較では、3例で増加を認め、全例でHbの変動が減少した。また、観察期間中に有害事象は認めなかった。結語:少数例のため、今後も検討を要すが、腎移植患者におけるESA製剤によるコントロール不良な貧血に対してロキサデュスタットが有用である可能性が示唆された。

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