移植
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腎移植におけるエプレットミスマッチと抗ドナー応答性の比較検討
山根 宏昭田中 友加井手 健太郎田原 裕之大平 真裕谷峰 直樹今岡 祐輝佐藤 幸毅井出 隆太築山 尚史小野 紘輔望月 哲矢荒田 了輔大段 秀樹
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2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s151

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抄録

【はじめに】

エプレットミスマッチ(MM)と術後de novo DSA(dnDSA)の出現や移植後拒絶反応との関連について報告されているが、その機序は不明瞭である。本研究では、腎移植患者におけるエピトープMMと抗ドナーT細胞応答およびdnDSA発現について検討した。

【方法】

2011~2019年に初回生体腎移植を行った106例を対象とした。エプレットの解析はHLA Fusionを用い、antibody verifiedエプレット(Ver Ep)MMとAllエプレット(All Ep)MMで評価した。抗ドナーT細胞応答はCFSE-MLRアッセイで評価した。

【結果】

エプレットMMとMLRによる抗ドナーT細胞応答の関連解析では、エプレットMM数が多いほど移植前のCD4・CD8陽性T細胞応答性は亢進していた。さらに、CD4陽性T細胞応答性は移植前のみならず移植後長期経過に伴ってClass IIエプレットMMと相関していた(p=0.014)。dnDSA出現は、HLA-C Ver Ep MM 2以上(HR 4.49, p=0.023)、Class II Ver Ep MM 9以上(HR 5.21, p=0.011)が独立した危険因子として抽出された。

【結語】

腎移植患者において、エプレットMMが移植後の抗ドナーT細胞応答性に関連する可能性が示唆された。またエプレットMMはdnDSA発現のリスク因子と考えられた。

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