2021 年 56 巻 Supplement 号 p. s143
緒言:2019年から始まったCOVID-19感染は未だ解決されず、世界的パンデミックの状況が持続している。日本泌尿器科学会では第1回目の緊急事態宣言が出された2020年5月にCOVID-19感染拡大による医師の仕事や生活に対する影響についてアンケート調査を施行した。
対象と方法:アンケートは日本泌尿器科学会ダイバーシティ委員会で作成され、全国に発令されていた緊急事態宣言が解除された2020年5月26日に、アドレスを登録しているすべての日本泌尿器科学会員(8510名)に対し、学会事務局よりメール配信しGoogleフォームのアンケートリンク先を周知した。周知は2回行い、最終的に1048名(12.3%)から回答を得た。
結果:回答者の中で女性が占める割合は全体の10.6%であり、泌尿器科学会員に占める女性の比率(7.7%)とほぼ同じであった。最も回答が多かったのは50代、以下60代、40代であった。診療体制では診療制限、外来者数の減少、望ましい医療行為を提供できなかったと答えた割合が多く、特定警戒都道府県では傾向が顕著であった。また16%では発熱外来担当、そのうち34%が実際にCOVID-19患者や疑い患者の診療に当たったと回答した。感染拡大により、仕事と生活のバランスが楽になったと回答したのは30%、一方辛くなったと回答したのは27%であった。家庭での負担について、全体の28%で負担が増えたと回答しているが、男性では27%であったのに対し女性では43%であり、女性に負担が大きかったことが示唆された。負担が増えた多くの原因は家事の増加や子供のケア、介護に関わるものであった。一方、講演会や専門医取得・更新のための講習のオンライン化や学会のWeb開催に関しては、今後も形態を維持してほしいとの意見が聞かれた。
結語:アンケート結果からは、本来COVID-19の治療には関わらない泌尿器科医であっても、仕事・家庭ともに感染拡大の影響を受けており、特に女性医師では負担と感じる割合が高かった。