日本循環器管理研究協議会雑誌
Print ISSN : 0914-7284
長寿の要因 : 末期腎不全発症の危険因子
井関 邦敏
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2000 年 35 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

沖縄県はわが国有数の長寿県として知られている。しかし, 生活習慣や食習慣の激変から, 疾病構造も変化してきていると考えられる。我々は, 沖縄県下の全ての慢性透析患者を1971年の透析療法開始以来登録している (OKIDS) 。一方, 沖縄県総合保健協会 (OGHMA) では1983年度より, 県下の全地域の住民を対象にした集団検診の成績をコンピュータに登録している。この二つの登録データを照合することにより, 検診の各成績からの末期腎不全発症の危険度を推定できる。分析の結果, 蛋白尿陽性, 血尿陽性, 高血圧, および血清クレアチニンの上昇 (男≧1.4mg/dl, 女≧1.2mg/dl) が有意な因子であった。すでに慢性透析に導入された患者では低アルブミン血症および低拡張期血圧が有意な予後規定因子であった。最近, 糖尿病および高血圧による末期腎不全が増加しており, 一般住民での有病率の増加および治療が不充分であることが推察される。

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