2014 年 57 巻 2 号 p. 108-114
近年わが国では、管理栄養士・栄養士が病院で活動する機会が増えている。病院で働く場合、医療従事者として位置づけられ、プロフェション(専門職)と呼ばれ、その職としての倫理が求められる。管理栄養士・栄養士と名乗ることは、食品学、栄養学、臨床栄養学など栄養指導のための知識や心構えについて、管理栄養士・栄養士としての質を世間に対して保証されていることを意味する。まず最初に医療従事者としての先人である医師と看護師のたどった倫理の歴史を振り返る。次に、最近の医療現場での倫理問題について概説し、管理栄養士・栄養士にまつわる倫理的な問題を述べた。さらに、医療従事者である他の職の倫理と法規についても述べた。2011 年に公布された米国栄養士会の倫理綱領を概説した。栄養士を含めた医療従事者の倫理としては、時代や国を問わず、患者のために最善を尽くす、職業上の関係を乱用しない、患者の秘密を守る、インフォームド・コンセントを行うことであると考える。