Organ Biology
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臓器保存から臓器蘇生への展開
小林 英司
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2020 年 27 巻 2 号 p. 99-106

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抄録

臓器保存の技術は, 臓器移植治療の創成期より, 治療自体のもととなる技術として発展してきた. 一方, 近年の臓器不足の対応から, 循環停止したドナーから臓器を取り出し, その臓器を蘇生するという臓器蘇生の技術が進歩している. 本レビューでは, 著者が行ってきた臓器保存から臓器蘇生へと展開してきた実験的報告に解説を加えた. まず小動物モデルでPOC(プルーフ・オブ・コンセプト)を示し, ヒトと体サイズの同等なブタモデルで検証したTR(トランスレーショナル・リサーチ)を紹介した. また移植現場のニーズを踏まえ, 基礎研究でPOCが示されていながら臨床に応用できない技術をリバースTRした水素ガス注入臓器保存液の成果に解説を加えた. 基礎と臨床の相互交流とは, TRとリバースTRという研究手法をとることであり, 将来, 試験管内で臓器の発育も可能にするであろう.

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© 2020 日本臓器保存生物医学会
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