箱庭療法学研究
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研究報告
箱庭を通してのクライエント-セラピストの相互変容過程
重症心身障害児施設利用者へ箱庭を適用した事例から
倉橋 宏之
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ジャーナル 認証あり

2017 年 30 巻 1 号 p. 43-53

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抄録

本稿は,児童期より長年にわたって重症心身障害児施設に入所し,運動機能やコミュニケーション機能の衰えに加えて多彩な不定愁訴のある男性クライエントに対して箱庭療法を行った事例である。自ら箱庭を置くことができないクライエントに対して,セラピストが代わって置くという変則施行をとった。共同制作的な箱庭を通してクライエントは不定愁訴が解消した。治療を支えたものはchumshipであり,これによって深い転移関係が生じ,障害者元型が動き出したものと考察した。さらに,障害者への心理的な援助のあり方の新たな視点を見出すことができる事例であるとも思われる。

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© 2017 日本箱庭療法学会
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