2015 年 27 巻 3 号 p. 41-51
箱庭はイメージによる非言語的表現として,言語で示し得ないものを作品として示す。一方イメージを言葉として表現する方法として,筆者は俳句から物語を作成する「俳句イメージ法」を提唱している。本論文は,転換性障害の女子生徒の事例であり,面接で箱庭を毎回はつくらず,身体を動かすことや言語でのコミュニケーションを望んだ。そこで,箱庭と俳句イメージ法,身体運動を適宜組み合わせて行ったところ,抑圧された怒りの表出や,自己の生きてこなかった側面を見出すことができた。そのことにより自己イメージが変容し,比較的短期間で症状消失に至るとともに,新たな道を追求するようになった。ここではその面接過程を考察する。