小児耳鼻咽喉科
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「小児急性中耳炎診療ガイドライン」のアンケート調査について
宇野 芳史飯野 ゆき子
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2008 年 29 巻 3 号 p. 50-61

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抄録

小児急性中耳炎診療ガイドラインについて認知度,内容,使い勝手等についてアンケート調査を行い,その結果について検討および解析を行い下記の結果を得た.
1.ガイドラインの認知度は,耳鼻咽喉科医で95%,小児科医で75%が認知しており,使用経験については,耳鼻咽喉科医は65%,小児科医では50%が使用したことがあると回答しており,両群に有意差は認められなかった.ガイドラインを使用しない理由としては,必要ないと回答した医師が耳鼻咽喉科医,小児科医とも25%あり,手間がかかると回答した医師は耳鼻咽喉科医で50%,小児科医で25%と,有意差を認めた(p<0.05).
2.ガイドラインのスコア表については使いやすい,使いにくいを回答した医師が耳鼻咽喉科医,小児科医とも約半数の割合で認められた.抗菌薬については,薬剤およびその使用量とも,耳鼻咽喉科医および小児科医で使いやすいと回答していた.
3.抗菌薬の使用量および鼓膜切開の施行頻度については,耳鼻咽喉科医および小児科医とも過半数の医師が変わらないと回答しており,両群の間には有意差は認められなかった.しかし,耳鼻咽喉科医,小児科医とも重症度に応じての抗菌薬の増量については大多数の医師が参考になると回答しており,両群の間には有意差は認められなかった(P<0.05).
4.細菌検査の頻度については,施行する状況をすべて含めると,耳鼻咽喉科医の方が小児科医よりも有意に施行すると回答していた(p<0.05).
5.治療アルゴリズムについては,耳鼻咽喉科医,小児科医とも70%前後の医師が参考になると回答しており,両群の間には有意差は認められなかった.
6.抗菌薬の有効性の判定は,耳鼻咽喉科医と小児科医で有意差は認められなかったものの,耳鼻咽喉科医では鼓膜所見に,小児科医では臨床症状に重きを置く傾向がみられた.

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© 日本小児耳鼻咽喉科学会
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