画像電子学会誌
Online ISSN : 1348-0316
Print ISSN : 0285-9831
ISSN-L : 0285-9831
論文
手話の空間的特徴に基づくキーフレームを用いた手話映像要約の検討
筒口 拳秋山 滉太品田 紗弥花米村 俊一
著者情報
ジャーナル 認証あり

2021 年 50 巻 3 号 p. 373-382

詳細
抄録

大地震や水害などの災害が発生した場合,被災者に素早く正確に災害情報を伝達する必要があり,様々な手法が検討されている.一方,手話を第一言語としているろう者の中には,テキスト系システムを介して日本語の情報を取得することに認知的負担を感じる人も多く,緊急情報を素早く正確に読み取ることは容易ではない.このため,手話映像を用いて情報を伝達できる映像システムが有効であると考えられるが,災害時のように通信帯域が圧迫されたり,制限されるような状況においては,大容量の映像ファイルを伝達することは困難である.我々は,手話映像の伝達内容をできるだけ保持したまま映像の容量を削減し,緊急情報を伝達することができるシステムの構築をめざしている.本論文では,手話映像の空間的特徴が強く表れているフレーム(キーフレーム)のみで構成する低容量の映像(キーフレーム映像)を提案し,情報伝達方式としての有効性について実験的な検証を行った.災害発生を想定した手話緊急映像についてキーフレーム映像を作成し内容理解度に関する評価実験を行った結果,映像データ量および映像の可読性においてキーフレーム映像の有効性が確認された.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 画像電子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top