画像圧縮技術の一つであるベクトル量子化は，画像信号中の低周波成分の分析•抽出に優 れた一般化調和解析を併用することで画質を 向上させる改良がなされてきたが，この手法 は符号化対象画像ごとに専用のコードブック を作成するため，コードブックの大きさに限 界がある．そこで，本稿では複数の画像から 事前に作成したコードブックを用いることで，コードブックのサイズに制限のないベクト ル量子化に一般化調和解析を適用することを 提案する． 本稿のベクトル量子化は，コードブック 作成時と画像符号化時に別々の画像を用いる． この際に，提案手法は一般化調和解析を別々の 画像に対して適用し，低周波成分を抽出する ことでもベクトル量子化単体よりも性能が向 上することを検証し，評価を行う． 提案手法を評価した結果，提案手法はベクトル量子化より 同ビットレートで0.1[dB]から0.3[dB]の画質の 向上が，どの評価画像においても得られることが確認された．