日本画像学会誌
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特集論文
溶融型熱転写方式カラープリンター用紙の印刷画質評価
篠崎 真田島 洋前田 秀一
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2000 年 39 巻 3 号 p. 217-228

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抄録

溶融型熱転写方式カラープリンターにて三種の用紙に同一条件で印刷しその画質を評価した.
 画像境界部の評価ではTEPおよびNEPを評価し,合成紙,多孔性塗膜塗工紙,上質紙の順に画質が優れているという結果が得られた.多孔性塗膜塗工紙はTEPでは合成紙に近い値を,NEPでは上質紙に近い値を示した.
 階調再現性においては,合成紙は階調再現性が忠実であり,上質紙はややアンダー気味,多孔性塗膜塗工紙はややオーバー気味,という傾向が見られた.多孔性塗膜塗工紙は30%程度以下の網点面積率においては合成紙とほぼ同等の性能を示し,また網点面積率の高い領域では本実験の印字モードでは過剰に転移するという結果が得られた.
 モトル評価および粒状性評価では,上質紙に比べて合成紙と多孔性塗膜塗工紙は優れているという結果を得た.
 上述の印刷品位は表面粗さでほとんど説明できると思われるものの,なかで多孔性塗膜塗工紙は特異な傾向を示している.多孔性塗膜塗工紙は表面の多孔性塗膜によって吸液性,断熱性,クッション性が付与され,それらが上記の特徴を与えたものと考えられる.

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© 2000 一般社団法人 日本画像学会
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