ネットワークポリマー
Online ISSN : 2186-537X
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解説
光二量化により粘弾性を変化できるABA トリブロックコポリマーを基盤とした 動的ハイドロゲルの創製と三次元細胞培養への応用
玉手 亮多上木 岳士北沢 侑造葛貫 森信渡邉 正義秋元 文吉田 亮
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2017 年 38 巻 2 号 p. 103-109

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抄録

本研究では,UV 光照射によって動的に粘弾性を変化できる,ABA トリブロックコポリマーからなるハイドロゲルの物性及び細胞培養への応用に関して報告する。温度応答性のA ブロックはN- イソプロピルアクリルアミドとクマリン基を側鎖にもつアクリレートモノマーからなり,親水性のB ブロックは生体親和性のあるポリエチレンオキシドからなる。昇温によって,本トリブロックコポリマーはゾル-ゲル転移を示し,生理条件下で物理的に架橋されたゲルを形成する。更に,UV 光照射によってクマリン基の二量化が起こり,ハイドロゲルの粘弾性は動的に変化することを明らかにした。UV 光照射後は照射前と比べて粘弾性的性質は大きく異なり,ミセルコア内での化学架橋点の形成が示唆された。最後に,ハイドロゲルの動的な粘弾性変化が内包された細胞の増殖挙動に大きな影響を与えることを示した。

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© 2017 合成樹脂工業協会
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