ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
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エポキシ樹脂およびビスマレイミド樹脂の熱硬化系における 潜在性硬化促進剤としての テトラブチルホスホニウムカルボキシラート類の開発
大賀 将範大橋 賢治
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2021 年 42 巻 5 号 p. 184-193

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抄録

硬化促進剤としてオニウム塩を用いると,一般的に潜在性の優れた樹脂組成物が得られることが知られている。本研究において,各種ホスホニウムカルボキシレート,アンモニウムカルボキシレート,および2- フェニルイミダゾールを用いて,エポキシ樹脂組成物,ビスマレイミド樹脂組成物,ビスマレイミド-エポキシ樹脂組成物のアニオン重合における潜在性硬化促進剤としての特性を検討した。その結果,潜在性は,ピロメリット酸ジアニオン>1,2- シクロヘキサンジカルボン酸モノアニオン>1,4- シクロヘキサンジカルボン酸モノアニオン≒ラウリン酸アニオン≒2- フェニルイミダゾールの順で良好であることが分かった。また,ホスホニウム塩を配合したエポキシ樹脂硬化物は,アンモニウム塩を配合した硬化物より,耐熱性が高いことが分かった。これらの実験結果より,BTBP-pyromellitate,TBP-3S(いずれも北興化学工業㈱製品)が,樹脂組成物の潜在性と硬化物の耐熱性が両立可能な硬化促進剤として最も有望であることが示された。

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© 2021 合成樹脂工業協会
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