防潮堤建設や⽔質の悪化などを受けて、都市の裏側の存在だった都市部の⽔辺が、貴重なオープンスペースとして注⽬されてきている。中でも、カヤックやSUP(Stand Up Paddle)などの都市河川を漕ぐ活動について、促進策が議論されているが、現時点で、その活動が都市に与える影響は明らかになっていない。そこで本研究では、都市河川におけるカヤック・SUP活動の現状を概観した上で、まず、これらの活動が、カヤック・SUP活動団体の運営や河川環境改善などのレクリエーション以外の活動への関心に与える影響を明らかにする。次に、カヤック・SUP団体の活動の実態把握を通じ、これらの活動を可能とする河川及び都市空間の要件を明らかにし、活動の促進に向けた⽅向性を検討する。本研究を通じて、都市河川におけるカヤック・SUP団体は、都市住⺠に対し、桟橋や親⽔護岸を利⽤した安全な⽔⾯へのアクセスを提供すると同時に、その活動が、利⽤者の環境に対する問題意識を⾼め、川やまちへのかかわりを促す可能性があることが分かった。また、都市河川におけるカヤック・SUP団体の活動が、地域や⾏政のまちづくり活動の⼀環として位置付けられる例もあり、河川を含めた都市環境の改善、まちづくりに⼀定の貢献があることが明らかになった。