2017 年 16 巻 2 号 p. 135-140
本研究は、固定資産税収の過去の推移から将来の税収を予測するとともに、地方都市の税収確保に向けた市街地集約化のあり方を検討することを目的とする。まず、長岡、松本、沼津、高知の4市を対象に、2015年までの9年間の固定資産税収の変化を地区別に分析した。その結果、郊外部での宅地面積・木造住宅床面積の増加が著しく、市全体で宅地評価額が大幅に下落しており、この傾向が継続すると2030年の固定資産税収は大きく減収することが予測された。一方、これまで郊外部で9年間に増加した木造住宅による開発を都市中心部の非木造建築物に誘導した場合、固定資産税収の下落を押さえる効果が確認された。中心部での開発誘導は、地区の宅地評価額の低下を防ぐとともに、非木造建築物による税収増加にもつながるため、固定資産税収確保に有効である。