都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
Print ISSN : 0916-0647
ISSN-L : 0916-0647
特定用途制限地域の導入の背景と非線引き白地地域の居住誘導手法としての可能性に関する研究
吉田 萌花姥浦 道生荒木 笙子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2023 年 58 巻 3 号 p. 984-991

詳細
抄録

本研究では、秋田県横手市と青森県おいらせ町を対象に、農地や自然環境が広がる地域における無秩序な宅地化の抑制を意図し、住宅を制限する特定用途制限地域を導入できた背景・要因及びその効果を明らかにし、特定用途制限地域のコンパクトシティ実現に向けた白地地域における居住誘導手法としての可能性を示すことを目的とする。対象自治体の担当者へのヒアリング調査および資料・文献調査より、ある程度市街化を許容する特定用途制限地域区分(既存集落型)や特例措置を設定することで住民や開発業者の不満を抑え、農地や自然環境が広がる地域に指定した特定用途制限地域区分(保全型)の制限を確実にしていることが、導入が可能となった要因であると考察した。また横手市における特定用途制限地域の見直し前後3年間の分譲住宅及び建売住宅の立地件数、宅地開発許可件数を、GISを用いて整理した結果、用途地域・既存集落型での立地件数が増加傾向にある一方、保全型での立地件数は大きく変わらず、制限見直し後は用途地域や既存集落型でのみ開発があるという居住誘導効果があった。

著者関連情報
© (c) 日本都市計画学会
前の記事 次の記事
feedback
Top