都市計画論文集
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Walkabilityの概念整理と日本での適用に向けた課題に関する研究
歩行行動の欲求段階モデルを用いた高田馬場駅周辺街路におけるケーススタディ
伊藤 佑亮高山 宇宙森本 章倫
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 56 巻 3 号 p. 811-818

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抄録

近年世界の多くの都市で “Walkable” をキーワードに,道路空間を車中心から人中心の空間へと再構築する取り組みが行われている.また学術分野においても,Frank et al. によって開発されたWalkability Indexをはじめ,歩行行動を促すような都市環境の評価に関する試みが盛んに行われている.Walkabilityという概念は,元来都市計画分野と公衆衛生学分野の複合的な領域で生まれた概念であり,近年主に都市計画分野において概念の拡張・整理が行われている.ただしこれらの議論は米国を中心に行われてきており,Walkabilityの概念は米国の都市の成り立ちやそれに基づく都市構造,生活様式を色濃く反映している.そのため,日本における概念の適用可能性を検討する必要がある.本研究では,Walkabilityを巡る動向の整理によって,歩行の質の向上を目的とした都市環境・都市構造の評価を行うために,都市環境・都市構造と歩行行動および歩行の質の向上を結びつける理論の構築が,日本での適用に向けた課題であることを明らかにした.また歩行行動の欲求段階モデルに基づき評価指標を設定しケーススタディによる分析を行うことで,日本にWalkabilityを適用するうえでの成果や課題に関する示唆を得た.

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