2018 年 53 巻 1 号 p. 19-26
本研究は,日本全国を対象に,地震・洪水・土砂災害と,土地利用及び土地利用規制に関係する都市計画上の区分についてデータベースを構築し,災害リスクの指標である曝露人口を2時点で比較した.その結果,全国で震度5強以上に遭う可能性のある人口割合が1.9%,浸水の恐れがある地域に居住する人口割合が0.4%増加している一方で,土砂災害のリスクは減少していることを定量的に示した.さらに,土地利用の変遷より,三大都市圏以外の都市圏では,近年,農地から新たに転換した市街地が,従来の市街地と比較して,地震・洪水の曝露人口の割合が高い一方で,三大都市圏では,平地・丘陵地での開発が進んだ結果,新旧市街地における曝露人口の割合の大小関係が,他の都市圏とは異なることを明らかにした.また,土地利用規制に関係する都市計画上の区分より,三大都市圏では,市街化区域が市街化調整区域より曝露人口の割合が高い一方で,三大都市圏以外では,市街化調整区域の曝露人口の割合が高いことを明らかにした.