2017 年 52 巻 3 号 p. 879-886
近年、登下校中の児童が犠牲になる痛ましい交通事故が相次いでおり、通学路上における安全確保は増々重要な課題となっている。一方で通学路とは、子ども達にとっては比較的自由かつアクティブに好きな行動ができる場でもあり、子どものアクティビティの機会が担保されていることも通学路として重要であるとの見方もなされつつある。本研究では、道路上における子どものアクティビティの発生傾向を理解することは、安全性の高い道路を通学路として選定する上でも登下校時における子どものアクティビティの機会を考える上でも極めて重要な情報になるものと考え、通学路の特性や子どもの特性とアクティビティの起こりやすさの関係に着目した。福岡市内の小学校区をケーススタディとして路上観測調査を実施し、道路上における小学生のアクティビティの発生状況を調査した。その結果、子どものアクティビティの発生には一緒に歩いている児童の人数が最も大きな影響を及ぼし、次いで小学校からの距離や広い歩道の有無も影響してくることなどが明らかになっている。