2015 年 50 巻 1 号 p. 154-161
大阪市北区中崎地区は、梅田近接という希少な立地環境にもかかわらず、戦前の長屋など木造建物が相当数残存し、地元住民間には相互扶助的なコミュニティが存在する。徐々に増えつつあった空き家には90年代後半よりカフェや雑貨店が相次いで出店し、古くて新しいまちとして外部者を惹きつけている。一方、比較的広い道路沿いを中心にマンション建設が増加し、中崎地区の構成員としてマンション住民の割合が高まっている。マンション住民は一般的に近所づきあいや地域活動に積極的ではないと言われているが、本研究においては分譲マンションのみならず賃貸マンションの住民にも地元コミュニティとの親密な交流を求める意識が存在することを明らかにした。また、中崎地区の特徴であるカフェや雑貨店等の新しい店舗経営者の存在が、マンション住民と地元住民との間をつなぐルートになりうる可能性があることも示唆した。