都市計画論文集
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日常交通行動の地域性を考慮した郊外住宅地における太陽光発電システム付戸建住宅居住の実質的省エネ性
加藤 丈佳今村 俊文鈴置 保雄
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2012 年 47 巻 3 号 p. 385-390

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抄録

省エネ・低炭素化のために太陽光発電システム(PVS)の大量導入が期待されているが、PVS導入に適した郊外戸建住宅への居住は、都心居住と比較して日常行動のエネルギー消費が大きく、集合住宅と比較して居住のためのエネルギー消費も大きい。そこで本稿では、1~6人家族の世帯が名古屋都市圏の50地域に居住する場合を想定し、世帯による住宅規模の違いおよび居住地域による日常行動の移動距離の違いを考慮して、PVSなしの都心集合住宅居住との比較により、郊外におけるPVSつきの戸建住宅居住の実質的省エネ性を評価した。その結果、日常行動にて利用する自動車が燃費の悪いワゴン車を利用する場合でも、都心にてPVSなしの集合住宅に居住するよりも、3人家族の世帯では十数km圏内、4人家族の世帯は6~7km圏内の郊外地域であれば、PVS付の戸建住宅に居住する方が省エネになることがわかった。燃費のよいハイブリッド車の場合、大家族の世帯でも、郊外におけるPVS付きの戸建住宅居住は都心におけるPVSなしの集合住宅居住よりも実質的に省エネになることがわかった。

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© 2012 公益社団法人 日本都市計画学会
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