本研究は、地区計画策定後の地区変化による地区計画変更に着目し、全国的な地区計画変更の実態調査と住環境ニーズの変化により地区計画の変更を行った事例のケーススタディを通じて、今後増加すると考えられる地区計画変更と制度の柔軟な運用について示唆を得ることを目的とする。本研究によって明らかになった点は、以下の通りである。地区計画の変更は全策定数の約半数で行われているが、関連法改正や事業完了等による間接的で事務的な変更が大半を占め、住環境ニーズの変化を受けた地区計画の方針や規制内容の変更は少ない。地区計画の変更には規制緩和型と強化型の変更が存在するが、抑制すべき対象が明確である強化型に対し、緩和型では変更により新たな環境悪化を招かぬよう慎重な検討が必要となる。地区計画変更により規制内容を地区状況に適したものに定め直すことができるが、まちづくりや地区計画について考える機会の創出や住民組織の活性化など二次効果も期待できる。地区ルールとして地区計画を維持するためには、策定時に住民組織を形成し、常に変化する住環境ニーズに対して定期的に話し合う場を持ちながら、必要に応じて適切な変更を行うことが必要である。