2006 年 41.3 巻 p. 517-522
河川空間の魅力を活かすため、街との繋がりを考慮し一体的な整備が行われてきているが、官民境界や管理体制の境界によって、実践においては難しい現状がある。しかし、人間活動の視点から街と川との繋がりを考えたとき、その管理体制などの境界と、人々による街と川との境界の認識が一致するとは限らない。そこで、本研究では、人間活動の視点から街と川の繋がりを捉え、境界となる場所を見抜く手法、境界の位置づけ、境界と位置づけられた場所を街と川との繋がりをもつ場所としてデザインする為の着目点、を明らかにしたい。また、研究対象として、複数の都市河川を同列に取り上げたことで、各河川の個性によらない高い汎用性と計画やデザインの実践につながる知見が得られると考える。また、現地調査をもとに、街と河川を含めた横断図の作成を行い、空間を構成している要素に着目した。その要素の配列の傾向が、どのような空間の状況を示しているのかを分析することで、街と川をつなげるためのデザインにおける着目点を抽出する。