2006 年 41.3 巻 p. 229-234
都市は多くの価値基準によって構成されているので、一つの価値基準だけを評価するモデルを用いて分析してもその理解は困難である。それゆえに今日の複雑な都市問題を解決するのは容易ではない。本研究の目的は今日の都市における典型的な課題-中心市街地の衰退-を大津市浜大津地区を事例にして考察することである。この目的のためにスペース・シンタックスを用いて、大津の近世から近代、現在へと至る都市形態の変遷を解析し、その解釈にGlobalモデル、Localモデル、エントロピーモデルを適応した。これらのモデルを用いた分析により、大津の中心市街地はかつての都市構造をそのまま引き継いでいるが、膳所町との合併および周辺部の開発など市域の拡大によってかつての機能を失ったことが見出された。