2005 年 40.3 巻 p. 559-564
本研究は、人口 1万人以上の自治体・都道府県を対象による 2003年度に開催したまちづくりリーダー・コーディネーター養成講座を対象にしたアンケート調査を実施し、講座修了後の受講生のまちづくり活動状況を視点に、まちづくり学習の効果と課題を明らかにすることを目的としたものである。まちづくり講座の開催状況は、全国 2425部署のうちわずか 58部署( 2.4%)、講座数では 70講座と、全国的には開催する自治体が極めて少なく、大都市と中小市町村で開催状況に大きな格差が見られた。講座修了生のまちづくり実践に対する効果は、全体の約 7割の講座で「既に所属していた団体でのまちづくり活動の継続」であったが、全体の 3割近くの講座で、各地域のまちづくりを考える会等の結成・活動や公共施設の緑化支援や遊休地における花壇づくり・管理といった修了生による新たなまちづくり活動が生まれていた。修了生による新たなまちづくり組織が生まれた要因は、ヒアリングによる調査分析より、地域密着型の積極的な受講呼びかけ、修了生によるまちづくり活動に対する支援制度や場の設定、人的ネットワークの形成が関係していることがわかった。