東京都区部の再開発事業では,建物が隙間無く立ち並ぶ中,一定の空間の確保や,環境性や災害に対する防災性の向上といった都市問題を解決すべく,建築敷地内だけでなく,周辺地域一体として事業が行なわれている.こういった開発に伴い,周辺への交通環境や都市活動に波及効果が及ぼされ,快適性や安全性,交通利便性について改善されつつあるが,再開発事業の実情は,複雑すぎて把握できない現状にある.一方,再開発事業により引き起こされている,環境問題への危機感も強まっている.よって,過去に完了した再開発事業について把握することは,今後の都市開発を行なう上で,安全性,快適性,環境性を追求した街に整備するための一助となる.本研究では,11の事例を主成分分析により分析した.そして,事業期間,権利者転出率,緑地率,社会的関心といった4つの指標によって評価することを試みた.これにより,高い評価が得られた2つの事例を通じて,今後再開発事業が行なわれる地域について,留意点を知ることが可能となった.