中部日本整形外科災害外科学会学術集会 抄録集
第105回中部日本整形外科災害外科学会
セッションID: 2-F-P-3
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P-10 P 腰椎1
腰椎椎間板ヘルニアによる根性疼痛の発現機序:術中の大腿神経伸展テストによる根電位と血流の変化
彌山 峰史小林 茂内田 研造竹野 建一馬場 久敏
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抄録

【目的】腰椎椎間板ヘルニアでみられる根性疼痛の発現機序を解明する目的で、術中に大腿神経伸展テスト(FNST)テストを施行し、神経根の動態、根電位、そして根内血流の変化を観察した。【方法】対象はインフォームドコンセントが得られ、術前にFNSTが陽性であった腰椎椎間板ヘルニア7例(男5例、女2例、平均年齢46.7歳)である。全例、鏡視下髄核摘出術を施行した。手術椎間高位はL2/3 discが2例、L3/4 discが5例であった。手術中、FNSTを行い神経根の移動距離を計測した。次に、ヘルニア直上部で根電位(膝窩部より3‐5Hz,0.2msecで刺激)と根内血流(レーザードップラー血流計)の変化を計測した。【結果】術中の鏡視下での観察ではFNST施行時、ヘルニアによって圧迫された神経根の扁平度が増し、その滑走は0‐1mmと明らかに障害されていた。FNST施行時、根電位の振幅は、全例で消失し、根内血流は84.7_から_100%(平均±S.D.:97.7±3.6%)低下した。1分間のFNST負荷後の振幅と根内血流は、直ちにFNST施行前の値に回復し、この一連の変化には再現性を認めた。【結論】ヘルニア腫瘤と神経根の癒着は、FNST施行時の神経根の滑走を障害し、神経根への圧迫牽引作用を増大せしめた。この機械的ストレスによる神経線維への直接的な圧迫は、根の伝導性や血流障害を導き、根性疼痛を発生する異所性発火を誘発すると考えられた。

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© 2005 中部日本整形外科災害外科学会
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