主催: 中部日本整形外科災害外科学会
【目的】上肢の手術における腋窩神経ブロックのうち動脈貫通法について手技を紹介し、効果について調査したので報告する。【方法】対象は、2004年4月から11月までの8ヶ月に施行した50例である。麻酔手技は腋窩動脈を穿刺して、血液の逆流を確認し、血管の周囲に麻酔薬を注入する。これらに対して、動脈血逆流、併用麻酔有無、麻酔から手術までの時間、施行医師、合併症について調査した。【結果】動脈血逆流を確認できたのは46例87%であり、動脈血逆流が確認出来なかった症例は調査対象から除外した。腋窩ブロックのみで手術可能だったのは33例72%、皮膚切開時のみ局麻使用したのは13例28%、手術野にも局麻使用、もしくは全麻に変更したのは0例0%であった。麻酔から手術までの時間は局麻併用なし群、皮膚切開時のみ局麻が必要だった群に有意差は認めなかった。整形外科経験年数による併用麻酔なし率は有意差を認めなかった。合併症として血腫、神経損傷などは認めなかった。【考察】手技確認方法が安定している、逆流ありの局麻併用なし率7割、皮膚切開時のみ使用したものも麻酔成功と考えると10割であることより麻酔効果期待度が高率である、医師の経験年数による差がないことより手技が確実且つ容易で、有用な選択枝の1つと考えられる。