2020 年 27 巻 1 号 p. 81-85
重症下肢虚血(CLI)は、全身の動脈硬化疾患の一部である末梢動脈疾患の中でも安静時疼痛、潰瘍・壊疽を生じる最も重症の状態である。CLI患者は創傷が治癒するまで一定期間の免荷を余儀なくされ、その間活動量が低下することで下肢筋力が低下し、廃用症候群に陥りやすいとされている。そのため免荷期間から積極的なリハビリテーションが必要と考えられるが、創部痛などにより積極的なリハビリ介入が難しい現状がある。現在、電気刺激療法は筋力増強や末梢循環の改善に対して効果があるとの報告があり、運動療法とは異なる治療法の1つとして実施されているが、CLIに対しての報告は少ない。今回、電気刺激療法の1つであるベルト電極式骨格筋電気刺激法(B-SES)をCLI患者4名に対して実施した結果、末梢動脈閉塞などの急性増悪や熱傷など有害事象なく実施することが出来た。B-SESはCLI患者に対するリハビリの選択肢の1つになる可能性が示唆された。