マテリアルライフ
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ニトリルゴム (NBR) の表面近傍のオゾン劣化と機械的強度について
原 孝美中村 昭二小川 俊夫大澤 敏吉田 安徳峯岸 敬一
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1999 年 11 巻 4 号 p. 175-182

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抄録

本研究はオゾン劣化したNBRについて, 深さ方向の劣化と力学的性質の関係について調べたものである.クラックの発生がオゾン濃度, 曝露時間, 深さに関わることから, 劣化表面をミクロトームを用いて何層にもスライスし, クラックの状態の変化を調べるとともに, それぞれに機械的強度を測定し, 両者の関係を詳しく調べた.機械的強度については, 引張強度, 引張弾性率, 引張破断点伸びの測定を行った.この結果, 深さ方向の劣化の状態と機械的強度には良好な相関関係が見出され,
σ= (21.3c+1.70) logt ・ logd + 14.5 ± 2.90
という式で表されることがわかった.ここでσは引張強度, cはオゾン濃度, tは曝露時間, dは試料表面からの深さである.この式からオゾン濃度が既知ならば, ある深さに破壊が起こる時間の予測が可能となった。クラックはオゾン濃度の上昇と共に急激に増加するが, 力学的性質においても, 表面観察や表面成分の結果と同様, 強度の減少はごく表面で著しいことがわかった.

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