日本転倒予防学会誌
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原著
認知症高齢者の転倒予防:認知症高齢者の視点からの転倒予防のエビデンスと実践
鈴木 みずえ
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2016 年 2 巻 3 号 p. 3-9

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抄録

 人口の高齢化に伴って認知症高齢者の数は増大し,入院患者における認知症高齢者の割合も増加している。認知症高齢者の場合には,認知症という脳神経系の疾患による症状や加齢による心身機能の変化に伴って,転倒リスクに関連する身体機能も変化しやすく,潜在的なニーズが満たされないことから危険な行動を起こして転倒している。認知症高齢者の中核症状に関連した転倒リスクを明確にするとともに,認知症高齢者の視点からのニーズやこのような転倒を引き起こすプロセスも踏まえて,的確にケアをすることが重要である。認知症高齢者のニーズや転倒リスクは多様であることから多職種チームで転倒予防に取り組まなければならない。今後,これらのエビデンスに基づき,わが国の高齢者施設の状況に合わせて実行可能で継続性の高いプログラムの実践が望まれる。

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© 2016 日本転倒予防学会
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