耳鼻と臨床
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上顎洞洗浄による幼小児副鼻腔炎の治療
-特に方法・手技・麻酔法について-
調 賢哉調 信一郎
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2000 年 46 巻 1 号 p. 52-56

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抄録

約13年前より幼小児副鼻腔炎に対し、積極的に中鼻道よりキリアン氏上顎洞洗浄管使用による上顎洞洗浄を行って、治療効果を上げてきた。最近は二者併用療法 (上洗+ニューマクロライドおよびアゼプチン投与) を行っているのでその治癒率はさらに向上している。幼小児副鼻腔炎に対する上顎洞洗浄の適応としてはまず、最近、ニューマクロライドのみで治療され治らぬ症例が多いが、いずれにしても保存的療法で治らぬ難治型症例の他に、第一は高熱を伴う薬物療法で治らぬ急性副鼻腔炎であり、第二は頭痛症例である。第三には、いわゆる「副鼻腔気管支症候群」およびその亜型ともいえる膿性鼻漏と頑固な咳嗽、咳払いを伴った症例であり、いずれも軽快治癒した。その第四は、難治な滲出性中耳炎の合併例であるが、いずれもチューブ挿入術を行わず上顎洞洗浄のみで治癒した。第五に発作を起こす難治な気管支喘息で副鼻腔炎を伴った症例にも上顎洞洗浄は著効があった。なお、麻酔法としてコカインの適切な使用は必須であると述べた。

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