耳鼻と臨床
Online ISSN : 2185-1034
Print ISSN : 0447-7227
ISSN-L : 0447-7227
鼓膜チューブ留置後の鼓膜穿孔に対する簡易な外来的鼓膜形成術
酒井 昇松島 純一西澤 典子山地 誠一小市 健一國分 武彦
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 45 巻 3 号 p. 203-206

詳細
抄録

滲出性中耳炎でのチューブ留置術後の鼓膜穿孔例に対して、外来で行う簡易な鼓膜形成術の方法と術後成績を紹介した。術式としては経外耳道的に鼓膜麻酔液で鼓膜を麻酔後、穿孔縁周囲上皮を除去し、外耳道後方の耳介皮膚片を採取してオーバレイ法で置くものである。初回手術で5例中4例で穿孔の閉鎖に成功し (成功率80%)、残り1例の再穿孔例は再手術で穿孔の閉鎖に成功した。日常生活での支障を解消し経外耳道感染を防止する意味からも、耳管機能が軽快した段階で鼓膜穿孔を閉鎖することは必要かつ大切である。チューブ留置後の鼓膜穿孔は一般に小さいものが多いので、外来的に閉鎖術を施行するのに適しており、われわれの方法は簡便な外来手術として推奨できるものと考えられる。

著者関連情報
© 耳鼻と臨床会
前の記事 次の記事
feedback
Top