耳鼻と臨床
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輪状咽頭筋切断術の適応と限界
山下 弘之倉富 勇一郎熊本 芳彦山本 智矢冨田 吉信小宮山 荘太郎
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1997 年 43 巻 5 号 p. 690-695

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抄録

嚥下障害症例28名に対し輪状咽頭筋切断術を行つた. 21名 (75%) に嚥下の改善が見られた. 喉頭挙上術を行つた症例と行わなかつた症例間では改善率に有意差は無かつた. 喉頭外傷の改善率が最も良く, 脳血管障害がこれに次いだ. 筋萎縮性側索硬化症では4例中2例に改善が見られ, 進行性球麻痺では2例中1例に改善が見られた. 胸部疾患症例の結果は良くなかつた. 1例に喉頭全摘術を, 他の1例には喉頭閉鎖術を行つた. 65歳未満の症例の成績は良好であつた. すなわち, 13例中12例 (92%) に改善が見られた. しかし, 65歳以上の症例では, 15例中9例 (63%) の改善にとどまつた. 二群間には5%未満の危険率で有意差が見られた. 輪状咽頭筋切断術は65歳以上の症例に対しては効果があまり期待できない.

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