耳鼻と臨床
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迷路機能低下のスクリーニングとしての閉眼単脚直立検査の意義
井上 裕章中尾 圭介平野 哲雄岩元 正広久 和孝小宮山 荘太郎
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1994 年 40 巻 6 号 p. 941-944

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抄録

われわれは閉眼単脚直立検査を迷路機能低下(CP)のスクリーニングとして利用できないかと考え, 一側CP患者171人の閉眼単脚直立検査の結果をCPの程度および年齢別に検討し, 正常者293人の年齢別の結果と比較した. 一側のsevere CPもしくはcomplete CPの場合, 閉眼単脚直立は20, 30歳代では可能な例がみられたが, 40歳以上では全例不能であつた. 一側のmoderate CPの場合, 70歳代以外の20歳代から60歳代の各年代に閉眼単脚直立可能例がみられた. 正常者では20, 30歳代は99%が閉眼単脚直立可能であつたが, 40歳以上では不能例が増加した. これらのことより, 閉眼単脚直立可能の場合には, 患者が40歳以上であればsevere CPやcomplete CPをほぼ否定できるが, moderate CPについては年齢によらず否定できない. 閉眼単脚直立不能の場合には, 患者が20, 30歳代であればCPを含めた前庭系の異常を強く疑うことができる.

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