1993 年 39 巻 6 号 p. 953-962
頭頚部領域悪性腫瘍にて再建手術を必要とした25例について前治療としての化学療法, 放射線治療, 最終目的である腫瘍切除に続く再建手術を可能にするための病名告知を含めたインフォームド・コンセント (IC) について検討した. 告知は段階的に施行し表現法に差はあつてもすべて悪性腫瘍であるという認識を本人が理解することのできるようにし, 告知後は医療スタッフ, 家族とともに協力して患者の身体的, 精神的苦悩の支えとなるべく努めた. 全例にICは成立し, 手術拒否例には遭遇しなかつた. ICに関してはいまだ確立した方式はなく, 個々の医師の判断, 患者, 家族の考えに基づいて行われているのが日本の現状であり, 諸外国とは異なるわが国独自のICが確立されるべきである. 併せて外来初診患者に病名, 検査結果の告知に関するアンケート調査を施行し, 現今の悪性腫瘍告知についての患者の意識の流れを検討した.