耳鼻と臨床
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原著
重症急性咽頭・扁桃炎に対する garenoxacin の有用性に関する検討
冨山 道夫
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キーワード: 急性咽頭, 扁桃炎, garenoxacin
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2012 年 58 巻 4 号 p. 179-193

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抄録

成人急性咽頭・扁桃炎の重症度をスコア化し、重症と判定された急性咽頭・扁桃炎症例を対象として garenoxacin (GRNX) を投与し有用性を検討した。対象は 2010年に当院を受診した重症急性咽頭・扁桃炎患者 95名である。GRNX の副作用のため投与を中止した 2名を除いた 93名を臨床効果判定の評価対象とした。GRNX 7日間単独投与により治癒した症例は 80名で治癒率は 86%であった。追加の薬剤の併用を要した症例 13名中 10名より H.parainfluenzae が検出された。細菌検査では計 147株検出され、主な検出菌 (%)、GRNX の MIC90はβ溶連菌 46株 (31%) 0.125μg/ml、H.influenzae 20株 (14%) 0.25μg/ml、H.parainfluenzae 53 株 (36%) 4μg/ml 以上であった。GRNX は重症急性咽頭・扁桃炎に有用な薬剤であるが、H.parainfluenzae 検出例では追加の薬剤の併用が必要となる場合があり、慎重な経過観察を要すると思われた。

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© 2012 耳鼻と臨床会
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